パクリ少年の大冒険携帯編 序章

パクリ少年の大冒険
携帯編



* パクリ少年の大冒険・序章
* 不思議な事って何?
* 初体験
* ビンのレッテル
* メール
* 転がると痛い
* 自転車のペダル
* クリスマス
* 幌舞駅
* 最後はなぜかダムだった
* PCサイトはこちら

序章
「ねぇパクリ。今晩、僕の家で遊ばないか?」
下校中、一緒に並んで歩いていた拓海が、首に巻いているマフラーを直しながら、これまでの話題を急に変えた。
「今晩って……拓海の家に行っても親父とか、おふくろさんとか居るだろう? 遊ぼうって言われても親たちが居るんじゃ面白くないよ」
「それがさパクリ、お父さんもお母さんも仕事の関係で明日まで帰ってこないんだ」

おかしい、と思った。親父やお袋が居ないぐらいで、わざわざ俺を呼ぶだろうか? それにしても休日前に親が仕事で居ないなんて、さすが金持ちの息子だ。
「明日まで居ない、と言う事は明日の朝まで一緒に遊ぼうって事か?」
「実はさ、お父さんのウイスキーを、いっぺん飲んでみたかったんだ。出張で居ないうちにこっそり飲んでみようと前から計画していたんだよ」

不自然だと思った。大学受験を控えたこの時期に、ワザワザ怒られるような事をする必要はない。何かを隠しているような、そんな気がした。
「ベッドはどうする気だ? 俺は寝るとき、ベッドじゃないと寝られないからな」
「ああっ……それは僕のを貸してあげる。僕は布団をもってきて寝るから」

無理している、と思った。普段、自分が寝ているベッドは、たとえ親友といえども、貸したくないと思うはず。拓海の弱みを握れるような気がした。
「何か隠しているだろう、拓海」
「えっ、何も……何も隠していないよ」

俺の推理は間違いない、と思った。
「ウソ言うなよな、拓海。俺たち親友だろ。親友なのに本当のことを話せないなんて。それに本当のことを言えるのが友達だろ?」
「……でも、パクリに言うと笑うもんな」
「俺が笑う訳ないだろ。こう見えても拓海の親友だぞ」
「本当に笑わないか?」

ほらっ、やっぱり何かを隠していた。これで拓海の弱みが分るぞ。早く、早く自分の弱点を話すんだ!
「分ったよ、そんなに言うんなら話すよ。実はさ、夢を見るんだ」
夢? 普通、夢って誰でも寝れば見ることぐらいあるだろう。ひょっとすると拓海のやつ、夢を見るのが怖いんだな。
「十八歳にもなって夢を見るのが怖いのか? ちょっと情けないと思うよ実際問題として」
「怖くなんか無いよ、かえって楽しいぐらいなんだ。メールが届くんだ、僕が寝付くと決まって携帯に楽しいメールが届くんだよ」

夢の中で携帯にメールが届くと、それが楽しい夢か? だいたい、メールが届いても夢の中だったら意味が無い。何を言いたいのかまったく分らん。
「それで?」
「届いたメールを開くと『大阪-デリヘルとか横浜 デリヘル‐熱愛へようこそ』と書いてあって、その下のアドレスをクリックすると不思議な事が起こるんだ」


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